ブロックチェーン

仮想通貨の急騰とともに革命的技術として一躍脚光を浴びたブロックチェーンですが、最近仮想通貨が下落してその注目度も軒並み下がってきています。

そんな仮想通貨についてのあれこれを思うままに記述したいと思います。

■ブロックチェーンの今

ブロックチェーンといえばイコール仮想通貨のイメージでしたが、最近ぽつぽつと異分野での実証実験がおこなわれています。外国貿易の船荷証券や医療分野の電子カルテなど、ブロックチェーンの改ざんされにくく煩雑な事務処理を要さない分散型取引台帳としての性質が注目を集めているようです。

■なぜ仮想通貨が作られたのか

ネットでAさんとBさんが金銭授受をする場合、双方の銀行口座やカード会社、取引仲介業者などのそれぞれで手数料が発生し、処理に時間もかかります。たとえば、カード決済では5%~2%程度、電子マネーでは4%程度の手数料を販売店側が負担していると言われています。また、海外送金においてはswiftという機関を通じてそれ以上の時間と手間をかけて送金が行われます。

ネット上での決済をよりスマートにし、テキストデータをメールで送るかのようにお金を送ることを目指して作られたのが仮想通貨だったのです。

■なぜ仮想通貨はP2Pのシステムを採用したのか。

便利な電子決済手段を作りたいとして、ではある個人が突然「米ドルや日本円より便利な通貨作ったから使ってね」と宣言したとして、果たして皆が安心して使うでしょうか。ビットコインはサトシ・ナカモトと称する人が突然発表し、リリースされましたが、彼が通貨発行権を持ち、維持管理するとしたらどうなっていたか。おそらく誰からも信用されないし、使われることもなかったでしょう。

ビットコインが注目されたのは、中央の管理者を持たないで自立的に維持管理される、その分散システムのしくみがあってこそだったのです。

■なぜビットコインの送金は高くて遅いのか

スマートな決済手段としての役割を期待されていた仮想通貨でしたが、ビットコインの送金手数料は2017年末のピーク時には1件あたり2000円以上(現在は安くなっている)、時間もひどいときには1週間以上かかっていました。なぜそういうことが起こったのでしょうか。

ビットコインは1秒間に最大7件の取引を処理できますが、これは全世界で決済に使われることを想定するとあまりにも少なく、手数料は送金待ちの長蛇の列に割り込ませてもらうためのマイナー報酬として支払うため、取引所が金額を設定しています。当然ながら送金手数料が高いほうが優先的に処理され、早い傾向にあります。

また、ブロックチェーンでの記帳は10分に1回しか行われず、さらに複数のノードで同時に記帳されることがしばしば起こるため、その取引検証にも時間がかかり、送金処理の待ち時間は順番待ちがない状態であっても最短50分程度は記帳が完了するまでに必要となります。

■効率が悪いシステム、浪費されるリソース

分散型システムで動作するブロックチェーンは、何万台もの高性能コンピューターが接続され、演算速度を競い合っていますが、なぜこれだけのマシンパワーをもってしても処理が遅いのでしょうか。

ブロックチェーンに参加するノードは、10万台だろうが100万台だろうがすべてのノードが全く同じ演算をし、全て同じ取引履歴を保存しています。別のコンピューターと分担して協力しあうことは一切なく、全ノードが対等に中央銀行のサーバのように振る舞っています。

強大なマシンパワーは、演算処理に一番乗りしてマイニング報酬を得るためだけに使われます。ブロックチェーンはマイナー(採掘者)により維持管理され、ブロックが追加されていくのですが、汎用コンピューターよりはるかに高速なASICを持つコンピューターが24時間365日フル稼働し、莫大な電力を消費し続けています。

また、ビットコインの取引履歴は既に数百GBに達しており、その記録を全ノードがネットワークを通してダウンロードする必要があるため、それによりネットワークのトラフィックが大量に消費されます。

■すべての取引記録がオープンであることの問題

ビットコインの取引は、あるウォレットのアドレスから別のウォレットのアドレスに送金することによって行われますが、その取引はブロックチェーン上にすべて記録され、全ノードがいつでも閲覧可能です。

銀行口座に例えれば、口座番号を知られただけで自分の預金通帳がいつでも全世界で閲覧可能だということを意味します。

自分が今いくら持っていて、いつ何にいくら使ったか、ウォレットのアドレスを知られれば全て筒抜けになるということです。

■まとめ

ブロックチェーンを少しでも調べるとすぐにスケールの問題に行き当たり、そもそも金銭授受には向かないんじゃないかと思えてきます。

しかし、仮想通貨は2018年1月のピーク時で時価総額90兆円程度にまで達し、現時点(2018年9月)でもまだ30兆円程度を維持していますから、既に全世界に普及していると言っていい規模です。今後このしくみの延長線上でなにかできないかと技術開発が進んでいくことは期待できますので、しばらくはその動向を注目していきたいと思っています。

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